結び目を作ったゲル写真
コンニャクの圧縮実験の写真

⾷品の分野では、「⾆触り」、「⼝触り」、「⻭ごたえ」のような⾷感が、⾷品のおいしさに⼤きな影響を及ぼすと考えられています。⾷品分野では、このような⾷感をテクスチャー呼んでいます。テクスチャーは、美味しさを⾼めるためだけでなく、嚙む⼒や飲み込む⼒が弱い⽅への介護⾷やプラントベースの代替⾁など⾷品のテクスャーをコントロールすることが近年求められています。我々は、これまでゲルの⼒学特性(弾⼒や硬さの評価など)や構造の調査を⾏い、⼒学特性に優れたゲルや機能性ゲルの開発に取り組んできました。それらの技術を基にして、近年、⾷品ゲルのテクスチャーをコントロールする研究に取り組んでいます。現在、フードロス、⾷料不⾜、たんぱく源の確保など、世界的に取り組むべき「⾷」の課題がたくさんあります。フードロスの解決策の⼀つとして、⾷品の⻑期保存を確⽴することが挙げられます。しかし、⾷品の⻑期保存法の⼀つである冷凍は⾷品のテクスチャーに⼤きな影響を及ぼすことが問題となっています。そこで、我々はコンニャクを題材にして、冷凍耐性を有する⾷品ゲル(冷凍によってテクスチャーの変化しない⾷品ゲル)の開発に取り組んでいます。

研究室についてSTUDENT
大学院生と4年生の圧縮実験の様子
サンプル調製と伸長実験の様子
准教授 武野 宏之 TAKENO hiroyuki
研究キーワード ゲル,ソフトマテリアル,小角散乱,テクスチャー,破壊力学
研究分野 高分子有機材料
主な研究テーマ
  • 高分子-無機コンポジットゲルの力学物性と構造の研究
  • ナノファイバーゲルのタフネス機構とアクチュエーター研究
  • コンニャクグルコマンナンゲルの力学物性における冷凍・解凍効果の研究
研究概要

高分子ゲル,低分子集合体からなるゲル,無機微粒子/高分子のハイブリッドゲル,バイオベースナノファイバー/高分子コンポジットゲルなどのソフトマテリアルを主に対象とし,それらの構造と物性(特に力学物性)の相関について研究を行っている。主に放射光小角X線散乱・放射光広角X線散乱・小角中性子散乱・光散乱,水晶振動子マイクロバランス法,赤外分光法を用いて得られる構造に関する知見に基づき,力学特性に優れたコンポジットゲル材料の開発および,その優れた力学物性のメカニズム解明などの研究に取り組んでいる。さらに,イオン液体を溶媒に用いた高強度イオンゲルを作製し,そのゲルを用いたゲルアクチュエーターの開発にも取り組んでいる。また,近年,食品ゲルの力学物性の制御についても研究を行っている。

提供できる技術 ・応用分野

凝集構造解析,小角X線・中性子散乱,光散乱,低分子オルガノゲル,コンポジットゲル

主要な所属学会

高分子学会,日本中性子科学会,日本ゴム協会

論文
  • “Fracture Behavior and Biocompatibility of Cellulose Nanofiber-Reinforced Poly(vinyl alcohol) Composite Hydrogels Cross-linked with Borax”, Biomacromolecules, 26, 374-386 (2025)
  • “ Effects of Repeated Freeze-Thaw Cycles on the Mechanical and Structural Properties of Cellulose Nanofiber and Poly(vinyl alcohol) Hydrogels”, Cellulose 31, 7479-7492 (2024)
  • “ Effects of freeze–thawing treatment on mechanical and structural properties of konjac glucomannan gels containing additives”, Food Hydrocolloids 144, 109045 (2023)
最終更新日: