大規模斜面崩壊

日本には、軟弱な粘性土やゆるい砂質土などからなる厚い沖積地盤が広がっている一方、山地と丘陵地が国土の約3/4を占め、活断層と火山が非常に多く、火山性堆積地盤も広く存在し、風化が進んだ脆弱で不安定な自然斜面、急傾斜地・地すべり箇所数も膨大にあります。そのため、地震による液状化が発生しやすい地盤、地震や豪雨に起因するがけ崩れ・土石流・地すべりなどの土砂災害が生じやすい箇所が極めて多い。地震と豪雨を誘因とする土砂災害や液状化などの地盤災害は昔から多数ありましたが、近年地盤災害が社会に与える影響はますます強まっています。また、今後地球温暖化が継続し、恒常的な海面上昇、集中豪雨の頻発、巨大台風による高潮などの要因が複合した地盤災害が発生する可能性が高まっています。
 そこで、私たちは、このような多発している地盤災害を軽減し、地盤災害による犠牲者ゼロを目指して、地盤災害の発生メカニズムを現場調査、室内実験、およびコンピュータシミュレーションから検討します。そして、地盤災害対策の効果予測と効率的な対策の開発に関する研究を行っており、安全・安心な社会の構築を目指して研究を進めています。

准教授 蔡 飛 CAI Fei
研究キーワード 数値解析,液状化,土構造物耐震,土砂災害,地すべり対策,地中熱利用
研究分野 土木工学防災工学
主な研究テーマ
  • 地盤の液状化判定方法及び最適な液状化対策工の選定に関する研究
  • 降雨時斜面安定評価及び対策工の効果に関する研究
  • 地下水利用型地中熱冷暖房システムに関する研究
研究概要

N値とVsを併用した地盤の液状化判定方法に関する開発を行っている。また、地震時地盤および構造物の挙動とそれらの相互作用や,液状化対策工の効果判定と最適な対策工法の選定など、特に宅地における格子状地中壁や排水工法による液状化対策効果、を動的有効応力解析により検討している。
 豪雨時斜面および地すべり崩壊のメカニズムの解明,安定性の評価,斜面および地すべり安定のための対策工の効果判定および最適な対策工の選定を取り込んでいる。また、小流域における豪雨時の洪水と土砂災害の一体型予報・予測システムの開発を行っている。
 さらに、地下水利用型地中熱ヒートポンプ冷暖房システムや熱伝導型地中熱利用システムによるエネルギー削減効果に関する研究を行っている。

提供できる技術 ・応用分野

液状化対策、地盤数値解析、斜面安定・変形解析技術、地すべり解析技術,地盤および土構造物耐震技術,地中熱利用技術

主要な所属学会

地盤工学会,土木学会,日本地すべり学会

論文
  • 大間隔格子状改良および排水材併用工法による液状化対策効果の数値解析的検討、土木学会論文集A1、74(4), 534-545 (2018).
  • Cyclic use of groundwater: An innovative way to improve performance of a groundwater source heat pump system during a cooling period, Journal of Building Engineering, Vol. 51, Article 104325, 2022.
  • Contact-dependent inertial number and μ(I) rheology for dry rock-ice granular materials, Engineering Geology, Vol. 350, Article 107995, 2025.
受賞歴
  • 2002年7月 地すべり・斜面安定および社会基盤施設の安全性に関する第三回国際会議(シンガポール),最優秀論文賞
  • 2003年5月 地盤環境における地下水問題に関する国際シンポジウムIS-OKAYAMA,最優秀講演賞 
  • 2004年9月 日本地すべり学会研究奨励賞
最終更新日: