
ウイルス感染症の流行に伴い、感染初期における迅速かつ高感度な診断技術の重要性が一層高まっています。抗原抗体検査は簡便である一方、感度に課題があり、PCR検査は高感度であるが時間とコストを要するという制約があります。これらの背景から、高感度・迅速・簡便な検査技術の開発が強く求められています。
我々の研究グループでは、半導体プロセスにより形状および電気特性を精密に制御可能なSi材料に着目し、Siナノワイヤ(NW)バイオセンサの研究に取り組んでいます。近年は、理論解析による高感度SiNWバイオセンサ構造の予測、ナノ微細加工技術を用いた最適なSiNWセンサの作製及び生体分子の検出に関する研究を進めています。その結果、SiNWバイオセンサ構造の最適化により、6 aMの超低濃度( 1 aM=10^-18 mol/L)抗体の検出に成功した。本技術は、ガンの早期診断や特異的バイオマーカーの検出への応用が期待されます。



研究キーワード | ナノスケール加工計測,医用工学バイオセンサ,電子デバイス,電子線モンテカルロシミュレーション |
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研究分野 | 電気電子工学ナノマイクロ科学人間医工学 |
主な研究テーマ |
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研究概要 | 電子のモンテカルロ輸送計算をはじめとする計算物理の手法,ナノ微細加工技術による超微細ナノ構造の作製及びナノデバイスの作製に取り組んできた。近年は,特に医療応用を目指した低濃度生体分子検出のための超高感度バイオセンサの研究を進めている。主な研究テーマ及び研究概要は,以下の通りである。(1)超高感度シリコンナノワイヤバイオセンサの研究:n型SiNWの最適ドーピング条件の確立および電子線リソグラフィを用いたSiNWの細線化により,6 aMの超低濃度の生体分子の検出を確認した。(2)オン・シリコン熱電発電デバイスの研究:環境中の微小な熱エネルギーで動作するセンサを実現するため,SiNW型半導体結晶を用いた熱電発電デバイスの最適な構造を予測した。(3)電子線描画法及び自己組織化法の融合技術による10 nm以下のパターン形成技術の研究:通常の自己組織化法では基板上にドットがランダムに形成されるが,精密に設計されたガイドランインパターンを用いて基板表面の領域を制限することで,世界最高水準となる直径5 nm,ドット間隔10 nm×7.5 nmのドット列を形成した。 |
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提供できる技術 ・応用分野 | 超高感度バイオセンサの作製と計測;熱電発電デバイス;電子線描画法及び自己組織化法によるナノ微細構造形成技術;電子デバイスの計測評価技術 |
主要な所属学会 | 応用物理学会 |
論文 |
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メディア情報 |
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