生分解性プラスチックを分解する微生物をしらべる

環境での生分解性プラスチックの分解性

プラスチックごみによる環境汚染は、現在大きな問題になっています。その対策の一つとして、生分解性プラスチックが注目されています。これは、自然の中にいる微生物の働きによって、水や二酸化炭素にまで分解される性質をもっており、持続可能な社会に向けて必要な材料と考えられています。しかし、この生分解性プラスチックは、使われる場所やそこにいる微生物の種類によって、分解されるスピードが変わってしまいます。例えば土壌はやく分解されるのに海では分解が遅くなる様なことがあります。そのために「どれくらいの期間で分解されるのか」という製品の寿命を正しく予測する事が難しく、それが生分解性プラスチックの普及を妨げる理由の一つです。この問題を解決するには、「どんな微生物が分解に関わっているのか」を知ることがとても大切です。
そこでこの研究では、自然の中で生分解性プラスチックがどのように微生物によって分解されていくのかを調べています。どんな微生物が分解に関わっているのか、また、その働きがどれくらい強いのかを調べることで、生分解性プラスチックをもっと上手に使えるようにすることが目標です。

研究室についてSTUDENT
実験している様子
論文調べ
助教 スレーントーン プウビライ SOULENTHONE Phouvilay
研究キーワード 生分解性プラスチック, 微生物、酵素, バイオインフォマティックス、高分子
研究分野 高分子
主な研究テーマ
  • 微生物による生分解性プラスチック分解機構の解明
  • 生分解性プラスチックの分解速度制御
研究概要

プラスチックごみによる環境汚染問題は、特に近年、深刻な社会的課題として注目されており、その解決策の一つとして、生分解性プラスチックの活用が挙げられています。生分解性プラスチックは、環境中の微生物の働きによって最終的に水や二酸化炭素にまで無機化されるため、持続可能な社会の実現に向けた有望な素材として期待されています。しかしながら、多くの生分解性プラスチックは、使用される環境(温度、湿度、微生物の種類など)によって分解速度が大きく異なります。そのため、生分解性プラスチック製品の寿命を正確に推定することが難しく、これが製品設計や実用化、さらには普及の妨げとなっているのが現状です。生分解性プラスチック製品の寿命を適切に推定するためには、それぞれの環境下で、どのような微生物が分解に関与しているかを明らかにすることが重要です。本研究では、環境中での微生物による分解の実態を明らかにすることを目的とし、特定の生分解性プラスチックに対して関与する微生物群の解析および、それらの分解活性の評価を行います。そして、得られた知見を基に、分解速度の制御への応用を目指します。

提供できる技術 ・応用分野

生分解性プラスチックの研究開発、生分解性材料

主要な所属学会

繊維学会、高分子学会

論文
  • Halopseudomonas sp. MFKK-1: A marine-derived bacterium capable of degrading poly(butylene succinate-co-adipate), poly(ε-caprolactone), and poly(butylene adipate-co-terephthalate) in marine ecosystems.Polym Degrad Stabil, 232, 111161, 2025
  • 芳香族―脂肪族ポリエステルの非コンポスト環境中での生分解に関与する土壌放線菌とその分解酵素,繊維学会誌,第78巻,第5号,2022年
  • 海海洋生分解速度促進剤 (特願 2024年)
最終更新日: