

微量物質の検出技術は様々な分野で必要とされ、特に医療やバイオ分野では、化学物質や生体分子を簡便かつ高感度に検出する技術が求められています。しかし、既存技術では簡易装置は感度が低く、高感度装置は時間とコストがかかることが課題です。
我々はナノメートルスケールの計測加工技術を応用して、マイクロカンチレバ(片持ち梁)やSiナノワイヤを用いたバイオセンサを研究しています。カンチレバ型ではアレルギー検査につながる抗原抗体反応を測定して、既存の簡易バイオセンサより100倍以上の高感度検出を実現しました。ナノワイヤ型では5.6 fM(fMは10の-15乗mol/L)の超低濃度抗体の検出に成功しました。
最近は体外受精卵の質量を測定する装置を世界に先駆けて研究しています。現在の不妊治療では形態観察のみで良好胚を選別しているため、出生率が低いことが課題です。そこで、定量的な良好胚選別を目指し、培養中の受精卵質量を測定する装置を開発しています。これまでに、ウニ卵子の質量約400 ngの測定に成功しました。



研究キーワード | ナノスケール計測加工,プローブ顕微鏡,電子顕微鏡,電子線リソグラフィ,高感度バイオセンサ,高感度ガスセンサ,結晶成長 |
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研究分野 | ナノマイクロ科学人間医工学 |
主な研究テーマ |
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研究概要 | プローブ顕微鏡や電子顕微鏡を用いたナノメートルスケール表面計測および加工による新規デバイスの研究を行ってきた。最近は,特に医療応用を目指した微小質量モニタリングや低濃度生体分子検出のための超高感度バイオセンサの研究を進めている。前者では,体外受精卵のクオリティ評価を目指して,受精卵の質量および放出されるイオン濃度を同時測定できるマルチ卵重計を微細加工で開発している。後者では,疾病の早期診断を目指して,電子線リソグラフィを用いてSiナノワイヤバイオセンサを作製し,aM(10-18 mol/L)レベルの超低濃度抗体の特異的検出を実現している。また,酸化金属およびSiナノワイヤセンサはガス検出も可能なことから,可燃性ガスの微量漏洩検出や生体から放出される微量ガスの検出を目指した研究も進めている。 |
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提供できる技術 ・応用分野 | 電子顕微鏡による表面形状計測,プローブ顕微鏡による表面形状・物性計測,集束イオンビームによる微細加工,電子線描画によるナノメートル加工,結晶成長(気相成長,固相エピタキシャル成長など) |
主要な所属学会 | 応用物理学会,日本結晶成長学会,次世代ナノプローブ技術委員会(旧日本学術振興会ナノプローブテクノロジー第167委員会) |
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受賞歴 |
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