ポーラス金属

私は水に浮くほど軽い金属に関して研究しています。写真の水に浮いている金属をポーラス金属と言います。ポーラスと言うのは英語でporousと書きます。porousは穴だらけである状態を示す形容詞で、ポーラス金属は金属内部に多数の気孔をもつ金属材料です。ポーラス金属は超軽量であるだけでなく、断熱性、衝撃吸収性、制振性、吸音性のように一般的な緻密金属にはない優れた特性を持ちます。ポーラス金属は自動車の燃費向上のための軽量材料として注目されています。他にも自動車のバンパーなどにポーラス金属を導入すると、衝突時に衝撃エネルギーをポーラス金属が吸収するため、ドライバーにかかる負荷が減り安全性が向上します。未だ高価なためポーラス金属はあまり実用化が進んでいません。私はポーラス金属を安価に作製するためのプロセスを確立するために研究を行っています。素材コストを下げ,加工にかかる消費電力を抑えつつ、短時間で大量に高品質なポーラス金属を製造する方法を確立することは困難ですが、やりごたえがあり、楽しくもあります。

研究室についてSTUDENT
光加熱による高速加熱発泡試験の様子です.加熱すると膨らむ試験片を加熱しようとしています.強い光を使うので遮光度の高いサングラスの着用が必須です.
光加熱による高速加熱発泡試験の様子です.加熱すると膨らむ試験片を加熱しているところです.部屋を暗くしたわけではありませんが,光加熱の光が強いので周りが暗く見えます.
准教授 鈴木 良祐 SUZUKI riyosuke
研究キーワード ポーラス金属,材料試験,塑性加工,鋳造,粉末冶金,IoT,サステナビリティ
研究分野 材料力学安全工学材料工学情報工学
主な研究テーマ
  • ポーラスアルミニウムの製造法・接合法に関する研究
  • IoTコンセプトに対応した材料試験装置の開発
  • 加工状態のセンシングに関する研究
研究概要

・鋳造,圧延,粉末冶金およびリサイクル技術を用いて,輸送機器軽量化に有効な軽量構造材料であるポーラスアルミニウムの安価な製造法の確立を試みている.大型ポーラスアルミニウムの製造に有効なポーラスアルミニウムの接合法に関する研究も行っている.
・IT技術やAI技術を取り入れた材料試験装置の開発を行っている.例えば,マイクロコンピューターを搭載した独自開発の硬さ試験機は,硬さの解析がPCなしで可能な他,遠隔操作や硬さデータの配信も行うことができる.
・IoT技術を利用した加工状態の常時センシングのように,ものづくりにIoT技術を取り入れる研究も行っている.

提供できる技術 ・応用分野

ドリルや包丁などの特殊形状部の硬さ評価/金属材料およびセラミックスの機械試験/切削屑などのリサイクル/ポーラス金属の作製・性能評価・接合/マイコンを用いた加工状態の常時センシング

主要な所属学会

日本金属学会,軽金属学会,日本機械学会,日本材料試験技術協会,日本鋳造工学会

論文
  • Fundamental Aspects of Wire Arc Additive Manufacturing for Aluminum Foams, Materials Transactions, Vol.65, (2024), pp.672-676.
  • Introduction of a Herbert Pendulum Hardness Tester Equipped with Raspberry Pi and Research on a Method for Converting Hardness Values Obtained from It, JTSS, Vol.9, (2025), pp.54-59.
  • 次世代自動車用高精度アルミニウムダイカスト金型の深穴ドリル加工における熟練技術の定量的評価, 産業応用工学会論文誌, Vol.9, (2021), pp.14-20.
最終更新日: