電子の運動から材料の性質を解き明かす

電子の舞台の1つ(結晶構造の様子)

重要な役割を担う電子
 我々の身の回りの“物”は原子が集まってできていることは皆さんご存知でしょう。多くの材料は数種類の元素の組み合わせでできています。元素の組み合わせやその並び方によって材料の性質の大方がきまります。そこで大きな役割を果たしているのが電子です。電子は金属中の電流のもとであるだけでなく、原子同士をくっつけたり、材料を磁石にしたり、透明にしたり、色をつけたりと様々な性質を材料に与える重要な役割を担っています。

原子レベルからの材料設計
 材料のなかで電子がどのように運動し、電磁波や光などの刺激によってその運動がどのように変わり、どのような反応が起きるのかが分かると材料開発を効率的に進めることができます。それを目指して、主に量子力学の知識と方法を使って研究しています。原子のスケールでの物理法則は日常の常識と大きくかけ離れていることと、無数の数の電子が互いに影響し合っているために、未だ解明されていないことが多く存在しますが、将来的には、どの元素を組み合わせて、どんな結晶にすれば望みの性能を持った材料を作れるかが分かり、原子レベルから材料設計ができるようになると期待して研究を進めています。

教授 高橋 学 TAKAHASHI manabu
研究キーワード 物性,磁性,X線分光
研究分野 物性物理学
主な研究テーマ
  • X線による電子励起と基底状態の理論研究
研究概要

磁気記録,磁気センサー,磁気光学素子の材料として使われる鉄,コバルト,ニッケル,銅などをはじめとする遷移金属を含む磁性化合物の結晶構造,磁気構造,電子状態をX線分光スペクトルと結びつける理論的研究を行っている。電子状態から分光スペクトルを計算するための理論の構築だけでなく,実験と直接比較するためのシミュレーション計算機プログラムの開発も行っている。

提供できる技術 ・応用分野

磁性化合物を含む結晶固体の電子状態計算

主要な所属学会

日本物理学会

論文
  • Magnetic circular dichroism in hard x-ray Raman scattering as a probe of local spin polarization, Pysical Review B100, 094435 (2019)
  • Theory of magnetic circular dichroism of nonresonant x-ray Raman scattering, Physical Review B92, 094441(2015)
  • Resonant x-ray scattering from chiral materials: alpha-quartz,alpha-berlinite, and tellurium, Journal of Physics: Conference Series, 519, 012009 (2014)
最終更新日: