鉄筋コンクリート構造物(以下、RC構造物)が火災を受けると,表層部が爆発的に剥離・剥落するいわゆる爆裂(図a)が生じます。コンクリートが剥落すると内部鉄筋は露出し高温により品質は大きく低下し、RC構造物が崩壊する危険性があります。この爆裂は、熱応力説と水蒸気圧説によって生じる(図b,c)とされていますが、まだ未解明な部分があります。最近起こったコンクリート構造物の火災事故として,例えば,2008年に起こった首都高速5号池袋線の事故があります。この事故では復旧工事費用約20億円,損失額が40億円となり被害は甚大なものでした。コンクリートの爆裂を抑制する方法として、ポリプロピレン短繊維などの有機繊維を混入する方法とコンクリート表面の耐火被覆を設置する方法がありますが、効果を確認するためには実験の実施が不可欠です。そこで、本研究グループでは、火災時のコンクリートの爆裂性状を評価する方法の開発を進めています。また、火災を受けたRC構造物の耐久性(どこまで、長持ちするのか?)の評価方法も検討しています。

研究室についてSTUDENT
実験の様子
教授 小澤 満津雄 OZAWA mitsuo
研究キーワード コンクリート,耐火性,爆裂,短繊維,耐久性,維持管理,FEM
研究分野 土木工学建築学
主な研究テーマ
  • コンクリート耐火性評価
  • 維持管理コンクリート構造物のひび割れ対策
  • リサイクル材のコンクリートへの適用
研究概要

コンクリートの耐火性に関する研究に取り組んでいる。すなわち,コンクリート火災の爆裂評価試験方法の提案,爆裂抑制繊維の開発,火害を受けたコンクリートの耐久性評価について検討を進めている。コンクリートの爆裂評価試験では,リング拘束供試体の加熱試験を実施し,熱応力と蒸気圧を測定することでメカニズムの解明を進めている。また,コンクリート構造物の維持管理について,撤去橋梁からのコアサンプルを採取し,耐久性を検討している。加えて,廃棄物のリサイクルについても検討している。

提供できる技術 ・応用分野

リング拘束供試体加熱試験方法,コンクリートの温度応力解析(MACS)

主要な所属学会

コンクリート工学会,土木学会,日本建築学会,日本材料学会,RILEM(ヨーロッパ材料連合)

論文
  • 火害を受けた鉄筋コンクリート構造物の損傷と性能の評価に関する調査研究小委員会(365委員会)成果報告書,コンクリート技術シリーズ No.137,2025年3月6日
  •  Fire spalling behavior of various polymer modified mortars under ring restraint, Journal of Advanced Concrete Technology Vol. 21, 367-379, May 2023 
  • Comparison of fire spalling behaviours between ring-restraint and pre-stressed concrete specimens during fire, Cement and Concrete Composites,Vol.126, February 2022, 104341
受賞歴
  • 日本プレストレストコンクリート工学会 第29回プレストレストコンクリートの発展に関するシンポジウム(オンライン大会)優秀講演賞の受賞 指導学生
  • 材料学会 第19回 コンクリート構造物の補修,補強,アップグレードシンポジウム 優秀論文賞【指導学生の受賞】
  • The 4th International Symposium on Concrete and Structures for Next Generation Best paper award【指導学生との共同受賞】
メディア情報
  • 2023年8月9日 フジテレビ『世界の何だコレ!?ミステリー』の解説
最終更新日: