放射光X線を利用したエネルギーデバイスの非破壊計測法の開発

電極材料の反応メカニズム
SPring-8-BL08Wの実験装置

我々の身の回りにある物質は、それぞれ独自の性質を持っています。物質の持つ性質を決めているのが物質内の電子です。電子の状態をコントロールすることで物質に新しい性質を持たせることもできますが、そのためには、まず電子の状態を調べて理解することが必要です。
我々のグループでは、放射光X線と呼ばれる非常に明るいX線を使い様々な物質の電子の状態を調べています。その中でも最近はリチウムイオン電池などに使われる電極材料をターゲットとして、充放電した際に電極材料内の電子の状態を調べています。
そのほかにも、X線の物質を透過する性質を利用し実際に使用している電池内部で、どのような反応が起こっているかを調べる手法の開発などを行っています。

准教授 鈴木 宏輔 SUZUKI kosuke
研究キーワード 放射光計測，非破壊測定，電子状態解析，磁気構造解析
研究分野 電気電子工学分析化学
主な研究テーマ
  • 電極材料の電子状態に関する研究
  • 高エネルギーX線を用いたイメージング手法の開発
  • X線磁気回折法による磁性体の研究
研究概要

放射光X線を利用して機能性材料の特性評価や非破壊で物体の内部を可視化する手法の開発を行なっています。機能性材料の特性評価では，主にリチウムイオン電池などで利用される電極材料の電子状態や反応メカニズムの解明を行なっています。その他にも磁性体の磁気構造・磁気特性の解明を行なっています。可視化手法の開発では，高エネルギー放射光X線を用いて，市販のリチウムイオン電池内部の反応を非破壊かつその動作下で分析したり，符号化開口と呼ばれる光学素子を用いた新たなイメージング手法の開発を行なっています。
提供できる技術 ・応用分野

高エネルギーX線を使った元素の非破壊定量分析，磁性体の磁気構造解析
主要な所属学会

日本物理学会，日本放射光学会，日本磁気学会，電気化学会，Material Research Society
論文
  • Magnetic Compton scattering study of Li-rich battery materials, Condens. Matter, 7, 4 (2022).
  • Redox oscillation in 18650-type lithium-ion cell revealed by in-operando Compton scattering imaging, Applied Physics Letters, 118, 161902 (2021).
  • Tomographic reconstruction of oxygen orbitals in Li-rich battery materials, Nature 594, 213-216 (2021).
受賞歴
  • 日本磁気学会 学会活動貢献賞（2022年）
メディア情報
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