レーザを使った流れ計測装置(LDA)
噴霧の可視化画像

流体力学とは
 液体と気体を総称して流体(りゅうたい)と呼びます。流体は漢字で表されるように、流れる体を持ったものです。我々は、流体力学、すなわち流れの性質を知るための研究を行っています。流体の中でも身近な空気や水ですら、日常生活ではなかなか観察することができません。工夫して見えるようにする作業、さらに工夫して流れの速度を計測するような作業が、研究の基本的な作業となります。空気の流れは現在までもこれからも運動する物体(車、新幹線、飛行機など)の形状改善のためのデータを与えます。液体の流れは水道管や液体燃料などを用いる場合の基礎的なデータを与えます。
 簡単には見ることができない流れに対し、我々はレーザ光を用いた可視化(見ることができるようにする)とレーザ応用計測を行っています。レーザ光を用いることで複雑な流れの可視化や、台風よりも大きな速度の流れ場を高精度で計測することが可能になります。

教授 石間 経章 ISHIMA tsuneaki
研究キーワード レーザ応用計測,流れの可視化,流体工学,混相流,自動車,燃料噴霧,エンジン
研究分野 流体工学熱工学
主な研究テーマ
  • レーザ応用計測による流れの詳細評価の研究
  • 流体中の微細粒子や微細液滴の速度と粒径計測
  • 薄い液膜の厚さと流動に関する研究
研究概要

流体は気体と液体の総称で,流体の運動は流れと呼びます。レーザを光源として光学系を構成し,微粒子を含む流れに照射すると,レーザ光のドップラ効果により,微粒子の速度が計測できるようになります。微粒子が流れに追従していれば,流れの速度計測を行うことになります。同様に,微粒子を含む流れは観察可能であり,画像処理により面的な速度が計測できるようになります。これらの方法でたとえば物体の周り流れやダクト内流れの詳細計測と詳細理解が可能になります。
これらの計測手法では,流れに追従しない微粒子の運動を直接計測することも可能です。さらに,上記計測器を応用して,微粒子の速度だけでなく粒径も計測できるようになります。ドップラ効果を利用したレーザ応用計測では0.1mm以下の領域を通過する微粒子の速度と粒径を計測できるため複雑な現象でも有用な情報を得ることができます。
流体に蛍光物質を添加し,レーザを照射するとレーザ光とは異なる波長の光を発します。これを薄い液膜に応用すると,液膜厚さや液膜の変形などが計測できるようになります.この方法を利用して,エンジンのピストン周りのエンジンオイル挙動を計測しています。

提供できる技術 ・応用分野

流れの可視化,流れのレーザ計測,レーザドップラ流速計による流れの評価,位相ドップラ法による燃料噴霧評価,物体周り流れの画像計測,レーザ応用計測による液膜評価

主要な所属学会

日本機械学会,自動車技術会,可視化情報学会,日本液体微粒化学会,日本混相流学会

論文
  • 実験計画法を用いた液滴-液膜の衝突挙動の系統的分類(液滴と液膜が異種液体の場合,日本機械学会論文集87(901),21-00143,2021.
  • ガスタービン吸気冷却用噴霧の噴霧特性と冷却性能の関係,日本機械学会論文集 86(884), 19-00030-19-00030, 2020
  • Water spray spatial distribution by novel optical measurement for cooling suction air of gas turbine and its influence on cooling performance, Mechanical Engineering Journal 7(4), 20-00115-20-00115, 2020
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