放送用電波観測システム
電波観測用アンテナ

身近な放送であるFMラジオ放送は、東京(東京タワー、スカイツリー)や埼玉、千葉、茨城など各地から関東圏内に向けて放送されています。群馬大学桐生キャンパスと前橋市にある荒牧キャンパスで、これらFMラジオ放送の電波を長期間連続観測した結果、観測された電波強度の異常変動と関東で発生する地震との間に関連性があることが分かってきました。本研究室では、数年間の長期電波連続観測によって得られた大量の観測データを統計処理し、地震データベースと比較検証することで、地震発生との関連性を明らかにしようとしています。今までの研究結果から、FMラジオ電波の異常変動は、地震発生の約2日前から数時間前までに発生する確率が高く、地震発生後には発生確率が低くなる傾向があることが分かってきました。電波が異常変動を起こす原因はまだよく分かっていませんが、電波の伝搬路である大気圏内の屈折率が、地震発生前には通常とは違ったものになっている可能性が考えられます。
将来、他の研究者がおこなっている観測結果(地中からの電磁パルス波観測やカーナビやスマホでも使われているGPS衛星波の観測解析など)と組み合わせた観測システムを構築することで、数日前に地震発生を予測することを目指しています。

教授 本島 邦行 MOTOJIMA kuniyuki
研究キーワード 電波伝搬,電磁波計測,AI(人工知能),非接触金属探傷,遠隔画像解析
研究分野 地球惑星科学電気電子工学安全工学生産環境農学情報工学
主な研究テーマ
  • 電波伝搬異常と地震発生との関連性解析
  • 電磁波を用いた金属管非接触遠隔計測
  • 次世代通信システムのための通信用電波伝搬解析
研究概要

電磁波を用いた計測を中心にして,主に以下の項目の研究を行っている。
1.見通し内VHF帯放送波の伝搬異常と地震発生との関連性解析
2.日没前後の中波放送波異常と地震発生との関連性解析
3.金属配管内に生じた変形・き裂の簡易遠隔検出法の開発
4.次世代通信システムのための電波伝搬解析
5.気象衛星画像と落雷データを用いた落雷予測
また,上記研究テーマを遂行するために,放送波自動観測システムと観測結果自動公開システム,マイクロ波を用いた金属管内自動計測システム,AIを用いた落雷予測システム,車載用次世代通信用電波自動計測システム,などの構築をおこなっている。

提供できる技術 ・応用分野

電磁波を用いた各種計測技術,統計を用いた関連性解析技術,移動体通信用電波伝搬解析技術

主要な所属学会

電気学会,日本地震予知学会

論文
  • Molchan’s Error Diagramによる見通し内VHF帯放送波の伝搬異常と地震との関連性解析、J. of Atmos. Electr., Vol. 38, No. 2, pp.101-112, (2019).
  • 電磁波群遅延特性を用いた金属管内の異物検出法、電気学会論文誌D、Vol.139, No.7, pp,652-656, (2019).
  • 家電独自判断による家庭内電力デマンド制御法、電気学会論文誌D、Vol.139, No.3, pp,316-321,(2019).
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