
コンクリートは世界で水の次に消費量が多い材料として身の回りに使われています。また、コンクリートは火に強い、燃えない材料として、ビルやトンネルなどインフラに関わる私たちの暮らしを支えています。
また、コンクリートは水、セメント、砂、石を混ぜることで作られており、最初は泥のようですが、時間がたつとセメントと水の水和反応により固まります。なので、もしコンクリートが火事で燃えた場合、水和反応によって固まっていたコンクリートが脱水してひび割れてしまいます。この状態で地震が起きると危険なので、コンクリートが燃えなかったとしてもひび割れを直す必要があります。しかし、直している間はトンネルやビルが使えなくなってしまうので、交通渋滞などの生活に不便が生じます。
また場合によっては、火災によりコンクリートがはじけ飛ぶ爆裂現象が起きる可能性があります。爆裂現象が起きた部材は断面が欠損するため、火災によりトンネルやビルが崩れる大事故が起きるかもしれません。こういった不便や大事故を防ぐためコンクリートの耐火性を研究する必要があります。
前述したようにコンクリートは水和反応によって固まるので、ひび割れや爆裂現象の原因を明らかにするためには、コンクリート中の水を調べる必要があります。そこで、コンクリートの耐火性を研究するため、図1のような中性子測定技術を使ってコンクリートの耐火性を研究しています。


研究キーワード | 鉄筋コンクリート、耐火性、爆裂、中性子、付着性能、熱分析 |
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研究分野 | 土木工学建築学 |
主な研究テーマ |
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研究概要 | コンクリートは水和反応により硬化した材料であり、高温環境下にさらされると水和物の脱水に伴い機械性能が低下する。また近年開発された、密実で高強度化したコンクリートは高い耐久性や機械性能を有しているが、急激な高温加熱により劇的な表面剥離が生じる爆裂現象が発生する。これらコンクリートの火災による劣化、破壊のメカニズムを解明するため、水和物の脱水領域、鉄筋とコンクリートの付着応力を中性子測定技術を用いて測定している。また、火災により性能が劣化したコンクリートは吸水することで再び性能回復する再養生技術の開発を行っている。近年、建設業界では技術者不足が深刻な問題として取り上げられており、この再養生技術が開発できれば火災により被災した構造物を簡便に補修できるため、現場作業者、管理者の負担軽減につながると考えている。 |
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提供できる技術 ・応用分野 |
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主要な所属学会 | 日本建築学会、土木学会、日本原子力学会 |
論文 |
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