米や麦に関する研究

近年、日本では、米の消費量が減少しており、米などの穀物の用途拡大および高付加価値化が求められています。そのため、私たちは穀物のおいしさの向上や機能性食品素材としての利用など高付加価値化を目指して、穀物の「澱粉」と「タンパク質」に関する研究を行っています。
澱粉ついては、米に着目し、炊飯した米を冷蔵保存した際に、ボソボソと硬くなり、おいしさが低下する「老化」の機構の解明とその抑制を目的として、米の加工方法が澱粉の老化与える影響に関して研究しています。
穀物タンパク質については、大麦やライ麦に着目し、穀物粉から機能性成分を抽出し、糖尿病予防効果などの生体調節機能性、食品加工への応用を考慮した加工特性に関して評価しています。

研究室についてSTUDENT
研究室での食品工場見学イベントの様子①
研究室での食品工場見学イベントの様子②
助教 二宮 和美 NINOMIYA kazumi
研究キーワード 穀物タンパク質,α-アミラーゼインヒビター,血糖値上昇抑制,澱粉の老化,米ゲル,おいしさ,機能性食品
研究分野 農芸化学健康科学
主な研究テーマ
  • 穀物タンパク質のα-アミラーゼインヒビターに関する研究
  • 穀物タンパク質の加工特性に関する研究
  • 澱粉の老化に関する研究
研究概要

近年、日本では、米の消費量が減少しており、米などの穀物の用途拡大および高付加価値化が求められている。
いくつかの穀物には、タンパク質性のα-アミラーゼインヒビター(α-AI)が含まれていることが知られている。α-AIは、α-アミラーゼの活性を阻害し、澱粉からグルコースへの分解を抑制するため、血糖値の上昇抑制効果を有することが考えられる。小麦α-AIは既に特定保健用食品の機能性成分として用いられているが、その他の穀物に関する研究は少ない。
一方、穀物中の澱粉は冷蔵保存中に再結晶化して硬くなる「老化」が起こる。老化した澱粉は食味や消化性が低下することから、澱粉の老化の効果的な抑制法が求められている。しかし、澱粉の老化メカニズム自体に未解明な点が多い。
本研究では、穀物の用途拡大および高付加価値化を目的として、米、蕎麦、大麦、ライ麦等の穀物の糖尿病予防効果および澱粉の老化メカニズムに関する研究を行っている。本研究により、穀物の保存性およびおいしさが向上するだけでなく、ヒトの健康増進、新規加工食品の開発にも繋がると考えられる。

提供できる技術 ・応用分野
  • 食品からのタンパク質抽出、分離、精製
  • 澱粉の加工、保蔵
  • 食品の物性、食感
  • 食品メーカーでの商品開発経験あり
主要な所属学会

日本食品工学会,日本食品科学工学会,日本調理科学会、日本応用糖質科学会

論文
  • “Analysis of short- and long-term two-mode retrogradation of corn starch during refrigerated storage”, Cereal Chemistry, 10883 (8 pages) (2025).
  • “Evaluation of the amount of glucose adsorbed on soluble dietary fiber by the analysis of its diffusion rate through dialysis membrane”, Food Hydrocolloids, 129, 107626 (9 pages) (2022).
  • “Suppression of Postprandial Blood Glucose Elevation by Buckwheat (Fagpopyrum esculentum) Albumin Hydrolysates and Identification of the Peptide Responsible to the Function”, Food Science and Human Wellness, 11 (4), 992-998, (2022).
受賞歴
  • Young Investigator’s Award, The 3rd International Symposium on Rice Science in Global Health (2018).
最終更新日: