食品に含まれる化合物を未来のクスリへ
実際の機能性分子の発見と構造改変

私たちの研究では、食品に含まれる「化合物」が新しい薬として使えるかどうかを調べています。たとえば、海藻や野菜には、体に良い影響を与える成分が多く含まれています。これらの成分を詳しく研究し、病気の治療に役立つ可能性を探っています。特に、「有機合成」という技術を使って、自然に存在する化合物の働きを強めたり、新しい機能を加えたりすることで、より効果的な薬を作ることを目指しています。現在は、2023年に動物用のがんの放射線治療薬として承認された海藻由来の化合物をもとに、人間にも使える薬を開発する研究を進めています。
 この研究が進むことで、食品由来の安全性が高い薬を開発できるかもしれません。たとえば、がんなどの予防・治療に利用できる薬の誕生が期待されています。また、食品由来の成分を活用した薬は、副作用が少ないものが多く、より安心して使用できる可能性があります。このような研究を通じて、私たちは未来の医療や健康を支える新しい可能性を探っています。

研究室についてSTUDENT
医薬品の候補化合物を合成
合成した化合物を培養細胞で評価

海藻や野菜に含まれる成分を活用し、がん治療薬の開発に取り組んでいます。無菌環境で行う培養細胞の実験は緊張しますが、先生が基礎から丁寧に指導してくださるので、安心して学ぶことができます。研究室の雰囲気は穏やかで、落ち着いて実験に集中できる環境です。

准教授 大重 真彦 OSHIGE masahiko
研究キーワード 天然物化合物,機能性分子,抗がん剤,放射線増感剤,分子設計
研究分野 生体分子化学農芸化学構造生物化学
主な研究テーマ
  • 開発中の薬剤のヒトへの応用を目指した作用メカニズムの解明
  • 機能性分子の構造改変と生理活性評価
  • 機能性分子の酵素合成法の確立
研究概要

食品に含まれる有用な化合物を基に、新規医薬品の開発を目指しています。海藻や野菜などに含まれる特定の成分には、健康維持や疾患予防に寄与する可能性が示されています。これらの成分を精査し、病気の治療に応用できるかを検証することで、革新的な創薬につなげることを目的としています。「有機合成」技術を駆使し、自然由来の化合物の有効性を強化する、または、新たな機能を付与することで、より高い治療効果を持つ医薬品の開発を進めています。現在、2023年に動物用のがん放射線治療薬として承認された海藻由来の化合物を基に、ヒト用医薬品への応用を目指した研究を推進しております。
 本研究の成果は、安全性の高い食品由来の医薬品開発につながる可能性があり、新たな治療選択肢を提供することが期待されます。さらに、食品成分を活用した創薬は、副作用の低減や患者のQOL向上にも寄与できる可能性があります。

提供できる技術 ・応用分野

天然物化合物探索と分子設計技術を活用し、機能性分子や創薬などへ応用する分野

主要な所属学会

日本癌学会,量子生命科学会,日本放射線影響学会,日本分子生物学会,日本農芸化学会

論文
  • Development of 3′-Sulfonoquinovosyl-1′-monoacylglyceride for a Novel Radiosensitizer, Trend Glycosci. Glycotechnol. 36, E64-E68, 2024
  • A silyl porphyrin derivative conjugated with 6-deoxy-6-sulfo-α-d-glucopyranose functions as an efficient photosensitizer for photodynamic therapy, Photodiagnosis Photodyn. Ther., 45, 103898, 2024
  • Synthesis of 3-octadecanoxypropyl 6-deoxy-6-sulfo-α-d-glucopyranoside (ODSG) as a lipase-resistant SQAP derivative., Bioorg. Med. Chem. Lett., 52, 128391, 2021
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