モデルベース開発に資する自動車用エンジンの研究

モデルベース開発(MBD)に資するエンジンの研究 (燃料噴霧の様子 実験(上)シミュレーション(下))

自動車はガソリンや軽油といった化石燃料を燃やしエンジンで動力を得ていますが,地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出します.社会の利便性を保ち地球温暖化を防ぐため,世界規模でカーボンニュートラル社会の実現を目指しています.大気中から回収したCO2とグリーン水素から作られるe-fuel(合成ガソリンや合成軽油など)でエンジンを回し自動車を動かす試みが今,なされています.しかし現状の技術で作られるe-fuelは高価であり,更なる高効率なエンジンの開発が今後も必要とされています.
液体燃料のエネルギーを効率的に動力へ変換するためには,エンジン内で燃料をよく燃やすことが必要です.燃料をよく燃やすためには,液体燃料を細かい液滴にして蒸発を促進させ,燃料と空気をよく混ぜることが重要です.その混ざりかたを理解するには燃料噴霧の動きを知ることが必要です.また,最近のエンジン開発ではコンピュータシミュレーションを活用したモデルベース開発(Model Based Development)という手法が用いられています.MBDを用いて開発するためにはシミュレーションモデルがエンジン内で起きる物理現象を再現できなければ使えません.よって燃料噴霧の明かになっていない現象を実験的に調べ,その現象を数式などで表す研究をしています.すなわち研究の成果は自動車用エンジン開発(MBD)で利用されるコンピュータシミュレーションの高精度化に繋がり日本の基幹産業の発展に貢献することになります.

准教授 座間 淑夫 ZAMA yoshio
研究キーワード 噴霧,微粒化,可視化計測,内燃機関,コンピュータシミュレーション,モデルベース開発,自動車工学
研究分野 流体工学熱工学
主な研究テーマ
  • 燃料噴霧の可視化計測
  • 壁面に衝突した噴霧火炎と壁面熱伝達に関する研究
  • ナノ粒子の捕集効率に関する研究
研究概要

自動車用エンジンを中心に液体燃料の微粒化機構や燃料噴霧の特性に関する研究を行っています。具体的には,可視化計測手法(PIV,PTV,高速度可視化)を用いてガソリン噴霧やディーゼル噴霧の流動特性の調査やピストン壁面に衝突した燃料噴霧(液滴)の挙動の調査を行い,今後のe-fuelの利用を見据えた高効率エンジンの創出に関連する研究を行っています。また,エンジン排ガスに含まれるナノ粒子に関連し,フィルターによるナノ粒子の捕集効率に関する研究も行っている.

提供できる技術 ・応用分野

可視化計測,画像計測,流れの解析,微粒子評価

主要な所属学会

日本機械学会,日本液体微粒化学会,自動車技術会

論文
  • Experimental Investigation on Velocity Inside a Diesel Spray after Impingement on a Wall , Fuel, 203,1, pp.757-763 (2017)
  • Experimental Study on Velocity Distribution of Postimpingement Diesel Spray on a Wall. PART 2: Effect of Ambient Gas Density and Injection Pressure on Flow Pattern, Atomization and Sprays, 26, 9, pp.921-938 (2016).
  • Estimation for Filtering Efficiency of Air Filter Consisting of Coarse and Fine Fibers,7, pp.325-340 (2023)
メディア情報
  • Motor Fan illustrated 「大学研究室訪問」 (2023)
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