食品成分による糖尿病予防の研究例
乳酸菌による健康増進の研究例

超高齢社会を迎えた現在の日本では、病気になる前に予防する「予防医学」が極めて重要であり、中でも食による病気の予防・健康増進が望まれています。さらに、ただ寿命を延ばすだけでなくいかに健康に自立して生活できる期間を延ばすかといった「健康寿命の延伸」が注目されています。当研究室では、病気の予防・健康増進が期待される食品成分を主に培養細胞を使って探索し、さらにその特性や作用メカニズムを解析しています。具体的には、糖尿病や痛風をはじめとする高尿酸血症、肝疾患といった生活習慣病および炎症性疾患などを対象としています。並行して、感染症など外来異物に対する免疫系を高めることが期待される食品成分の研究もおこなっています。また近年では肌・皮膚機能を維持・改善する食品成分の研究を進めており、保湿成分を増やすことが期待される食品成分、紫外線による皮膚炎を予防する食品成分の研究もおこなっており、これらは食品のみならず化粧品への応用も期待されます。一方食品素材としては、ポリフェノール類や野菜・果実などの抽出物、アミノ酸・ペプチド、オリゴ糖や食物繊維、乳酸菌・ビフィズス菌とあらゆる食品成分をこれまで扱ってきました。最終的には当研究室で見出された機能性食品成分が群馬県内企業などとの共同開発により、特定保健用食品や機能性表示食品といった機能性食品となって社会の人々の健康に貢献できることを目指しています。

教授 薩 秀夫 SATSU hideo
研究キーワード 機能性食品成分、ポリフェノール、乳酸菌、トランスポーター、タウリン、食品免疫、培養細胞
研究分野 農芸化学細胞生物学健康科学
主な研究テーマ
  • 機能性食品成分の探索・解析
  • 食品因子が生体に及ぼす作用の分子・遺伝子レベルでの解析
  • モデル細胞を用いたin vitro食品機能評価系の構築
研究概要

超高齢社会を迎えた現在の日本では、病気になる前に予防する「予防医学」に加えて、ただ寿命を延ばすだけでなくいかに健康に自立して生活できる期間を延ばすかという「健康寿命の延伸」がより注目されている。当研究室では、病気の予防・健康増進が期待される食品成分を主にモデル細胞を使って探索し、さらにその作用機序の解析などを進めている。具体的には、(1)糖尿病予防を目的として腸管上皮グルコーストランスポーターSGLT1・GLUT5並びに腎臓における糖再吸収トランスポーターSGLT2を阻害する食品成分の探索・解析、(2)体外に尿酸を排泄するトランスポーターABCG2を活性化する食品成分の解析、(3)自然免疫で重要なナチュラルキラー細胞を活性化するIL-12の分泌を亢進する乳酸菌の解析、(4)皮膚におけるヒアルロン酸の合成を促進する食品成分の探索・解析、(5)炎症性疾患の予防を目的として、炎症のマスターレギュレーターである転写因子NFκBを阻害する食品成分の探索、などを進めている。最終的には、見出された食品成分が機能性関与成分として機能性食品の開発につながり、社会の人々の健康に貢献できることを目指したい。

提供できる技術 ・応用分野
  • モデル細胞を用いた食品素材の機能性探索および安全性評価
  • 機能性食品成分がその作用を発揮する作用機序の分子・遺伝子レベルでの解析
  • 培養細胞を用いたin vitro食品機能評価系の構築
主要な所属学会

日本農芸化学会、日本栄養・食糧学会、日本動物細胞工学会、日本食品免疫学会、日本フードファクター学会

論文
  • Physiological effects of food ingredients on intestinal epithelial cell function, Drug Metab. Pharmacokinet., 50, 100499 (2023)
  • Inhibitory Effect of Tangeretin and Cardamonin on Human Intestinal SGLT1 Activity In Vitro and Blood Glucose Levels in Mice In Vivo, Nutrients, 13(10), 3382 (2021)
  • Molecular and cellular studies on the absorption, function, and safety of food components in intestinal epithelial cells, Biosci. Biotechnol. Biochem., 81(3), 419-425 (2017)
受賞歴
  • 日本食品免疫学会食品免疫学会賞(2024)
  • 第1回三島海雲学術賞(2012)
  • 日本農芸化学会農芸化学奨励賞(2012)
  • 日本栄養・食糧学会奨励賞(2010)
  • 日本動物細胞工学会奨励賞(2008)
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