細胞の中ではたらく機能性分子を創り、細胞の中のイベントを可視化する

(上)細胞内で機能する人工ペプチドの開発、(下)薬剤のオフターゲットタンパク質の探索

研究背景
 タンパク質は、私たちの体の中で、様々な場面で重要なはたらきをしています。細胞内でのタンパク質間の相互作用は、細胞内の情報伝達などの機能と関連しています。タンパク質間の相互作用がうまくいかなくなると、がんなどの病気の発症に繋がるため、タンパク質間相互作用を調節する分子の開発が期待されています。

研究内容
私たちの研究室では、がんなどの疾患に関連するタンパク質に結合する人工ペプチドを開発する研究を行っています。そのために、多種類のアミノ酸配列からなるペプチドライブラリを作製し、当研究室では、2つのタンパク質同士を連結させる活性をもつ分割インテインと抗生物質耐性能を付与する酵素を利用した方法により、目的の人工ペプチドの獲得を試みています。

研究室についてSTUDENT
研究室の実験の様子
研究室の学生部屋の様子
准教授 高橋 剛 TAKAHASHI tsuyoshi
研究キーワード ペプチド・タンパク質工学,ケミカルバイオロジー,進化分子工学,合成リガンド探索
研究分野 生体分子化学
主な研究テーマ
  • がんなどの疾患関連タンパク質に結合する人工ペプチドの創出
  • 合成化合物とタンパク質間相互作用の新規検出法の構築
  • 分割インテインを用いた活性型酵素生成系の構築
研究概要

アミノ酸が繋がった高分子化合物であるペプチドやタンパク質は、そのアミノ酸の並び方や立体構造の違いにより様々な機能を発現することができる。当研究室では、がんやアルツハイマー病などの重篤な疾患に関連するタンパク質に作用する人工ペプチドの創製や、ペプチドタグを用いた新規分子間相互作用検出法の開発に取り組んでいる。また、タンパク質スプライシング活性をもつインテインの改良や、非天然アミノ酸含有ペプチドライブラリの合成など、広くペプチド・タンパク質工学に関する研究を行っている。

提供できる技術 ・応用分野

ペプチド固相合成法、タンパク質化学合成、タンパク質ミスフォールディング解析、新規リガンド探索法を利用した合成リガンドの創製など

主要な所属学会

日本化学会、日本ペプチド学会、生命化学研究会

論文
  • Selection of MDM2-binding peptides in Escherichia coli using an engineered split intein and aminoglycoside phosphotransferase. Chem. Commun., 61, 6332-6335 (2025)
  • Development of a β-lactamase activity assay for detecting ligand-protein interactions using an engineered split intein and β-lactamase. Bull. Chem. Soc. Jpn., 97, uoae019 (2024)
  • Luminescence detection of peptide:N-glycanase activity using engineered split inteins. Chem. Commun., 58, 13282-13285 (2022)
最終更新日: