加工機械を用いて可視化実験をしています

身の周りには便利な製品であふれています。これらが開発されて、製品となるには、必ず加工が必要です。また、今日まで社会を豊にしてきた科学技術も、加工方法の進歩とともに発展してきたといっても過言ではありません。例えば、医療や天文学の発展のためには顕微鏡や望遠鏡が不可欠であり、その陰には光学レンズの加工技術の進歩があります。また、情報社会において必要不可欠な半導体の製造は、ナノメートルオーダーの分解能を持つ加工・計測技術により支えられています。このように、加工は社会を豊かにする基盤となる学問です。さらには、加工方法の効率化や高性能化がすすめば、新しい技術・製品の創出はもちろん、エネルギーや資源といった環境問題、労働環境や労働時間といった社会問題など、現代社会の様々な問題の解決に貢献することもできます。
 私は加工現象の可視化と計測をキーワードとして研究を行っています。特に、ガラスや半導体基板、ダイヤモンドなどの硬脆材料の加工と、物体内部に作用する力、すなわち応力の可視化に着目しています。高速度カメラを用いた現象の可視化や、有限要素法シミュレーションや光弾性実験法といった応力解析(計測)手法を用いて、加工現象のメカニズム解明と、その高性能化を目指しています。

助教 今井 健太郎 IMAI kentaro
研究キーワード 機械加工、精密加工、可視化、応力解析、表面性状
研究分野 生産工学設計工学
主な研究テーマ
  • 砥粒加工の可視化
  • 光弾性CT法の開発
  • ダイヤモンドの研磨加工
研究概要

機械加工・応力解析・可視化をキーワードに研究を行っている。半導体や自動車産業を支える加工技術について、加工メカニズムの解明や、それを応用した技術向上を目的とする。切削・研削・研磨といった機械加工や、金属板の塑性加工について、高速度カメラを用いた現象の可視化、有限要素法による応力解析など、実験とシミュレーションの両面からアプローチしている。応力解析については、光弾性法を発展させた光弾性CT法の開発を目指し、ディープニューラルネットワークなどの知能化技術も取り入れながら、実現に向け研究している。

提供できる技術 ・応用分野
  • 有限要素法、光弾性実験法、高速度観察
  • 切削、研削、研磨加工
  • DNN、画像処理、知能化
  • 微細表面構造、表面性状、光学素子、可視光通信
主要な所属学会

日本機械学会、精密工学会、砥粒加工学会

論文
  • ホイール割断における荷重負荷時の亀裂形成に関する研究(円形亀裂/起点クラックの形成メカニズム)、日本機械学会論文集、Vol. 87、No. 902、p.21-00190 (2021)
  • Dynamic observation of crack generation during wheel scribing from lateral and back sides using a high-speed camera, Precision Engineering, 60, pp421-427 (2019)
  • 走査型電子顕微鏡(SEM)を用いたガラスのホイールスクライブ挙動の観察、精密工学会誌、Vol. 84、No. 7、pp634-639 (2018)
最終更新日: