海洋生分解性プラスチックの生分解過程
海洋生分解性プラスチックの分解の仕組み

プラスチックは現代社会を支える重要な材料ですが、プラスチックごみの増加による環境汚染は全世界的な問題になっています。これらの問題の解決策として、生分解性プラスチックが環境調和型材料として注目されています（図1）。
　私たちの研究グループでは、来るべき持続可能な社会の構築を目指して、生分解性プラスチックの開発に取組んでいます。現状、市販されている生分解性プラスチックの種類は限られており、普及はしていません。これは、プラスチックでは「生分解性という性質」と「丈夫であり成形しやすいといった一般的な特徴」との両立が難しいことが原因です。そこで、私たちの研究グループでは、この生分解性プラスチック特有の「生分解性」という性質をよく理解し、これを制御できる技術開発に取り組んでいます（図2）。生分解性を自在に設定できる材料が創出できれば、使用中はまったく分解せず通常のプラスチック同様丈夫で、使用後に即座に分解しゴミにならない理想的な生分解性プラスチックとなります。このような材料による従来材料の代替が進めば、海洋プラスチックゴミ問題などの解決の一助となるかもしれません。

研究室についてSTUDENT
生分解性プラスチック表面に付着している微生物からDNAを抽出している様子
野外での実験（京都府宮津市の海洋センターにて）
教授 粕谷 健一 KASUYA kenichi
研究キーワード 生分解性高分子，海洋生分解性高分子，バイオマスプラスチック，環境微生物学，酵素科学
研究分野 高分子有機材料農芸化学環境解析評価環境保全対策
主な研究テーマ
  • 海洋生分解性プラスチックの研究開発
研究概要

プラスチックは現代社会を支える重要な材料ですが，原料や製造エネルギーとして化石資源を大量に消費します。また，プラスチックごみの増加による環境汚染も全世界的な問題になっています。これらの問題の解決策として，バイオプラスチックが環境調和型材料として注目されています。私たちの研究室では，来るべき持続可能な社会の構築を目指して，バイオプラスチックの開発に取組んでいます。
提供できる技術 ・応用分野

プラスチックや有機化合物の生分解性評価，微生物叢解析，生分解性プラスチック開発
主要な所属学会

高分子学会，繊維学会，日本農芸化学会，エコマテリアル研究会
論文
  • Oceanic biodegradation mechanisms of chemosynthetic biodegradable polyesters: focusing on poly(butylene succinate-co-adipate), ACS SRM, 2, 2025, 343-353.
  • Enhancing marine biodegradability of poly(butylene succinate) by blending with 16-hydroxyhexadecanoic acid and poly(ε-caprolactone), Polym Degrad Stab, 228, 2024, 110912,.
  • Microbial decomposition of biodegradable plastics on the deep-sea floor, Nat Commun, 15, 2024, 568．
メディア情報
  • #45「海洋プラスチックごみ」 BSTBS 関口宏のこの先どうなる 2025年3月23日
  • 微生物呼ぶプラスチック、海で素早く分解 群馬大学など 日本経済新聞 2024年9月2日
  • 群馬大、海中生分解の細菌特定 プラ汚染対策が前進 日刊工業新聞　2025年1月14日
  • 東大・海洋研究開発機構・群馬大など、生分解性プラスチックは深海でも分解されることを実証　日本経済新聞　2024年1月26日
最終更新日：