新規接合材料および接合技術の開発に関する研究

アルミニウムと炭素繊維強化プラスチックの接合

皆さんが使用しているスマートフォンやパソコンといった電子機器の内部には、数多くの電子部品が搭載されています。これらの電子部品は配線基板に実装されており、その際には「はんだ」などの接合材料が用いられます。製品の安全性や信頼性を確保するためには、接合材料に優れた機械的特性や接合特性が求められます。私たちの研究室では、これらの特性向上を目的として、接合材料の開発および評価に関する研究を行っています。
現在は、自動車や鉄道車両などの電力変換装置に搭載されるパワー半導体の実装に用いる新規はんだ材料の研究開発を進めています。パワー半導体用の接合材料には、有害な鉛を使用しない「鉛フリー化」が求められる一方で、高い耐熱性や機械的特性も同時に必要とされます。私たちの研究では、高温動作が可能な次世代パワー半導体に対応可能な鉛フリーはんだ合金を開発し、その優れた特性を実証しています。
また、めっき技術を応用した金属と樹脂との異種材料接合技術の研究開発にも取り組んでいます。現在、自動車分野では、省エネルギー化を目的とした部材の軽量化が求められており、それに対応するマルチマテリアル構造への直接接合技術の適用が期待されています。本接合技術は、ボルトやリベットなどを使用せずに接合できるため、部品の軽量化に大きく貢献することが可能です。

助教 小林 竜也 KOBAYASHI tatsuya
研究キーワード はんだ,めっき,半導体実装,マイクロ接合,異種材料接合,電気化学,金属組織
研究分野 材料工学化学工学
主な研究テーマ
  • 鉛フリーはんだ合金の材料開発
  • 電気めっきプロセスに関する研究
  • 異種材料接合における接合性評価手法の開発
研究概要

半導体パッケージおよび配線基板を対象としたマイクロ接合技術およびめっき技術に関する研究に取り組んでいる。パワー半導体実装用はんだ材料を対象として、溶融特性、機械的特性、ならびにパワーサイクル環境下における接合信頼性を評価し、これら特性の向上を目的とした研究を進めている。さらに、金属と樹脂との異種材料接合に関する研究にも着手しており、接合強度の評価に加え、接合性の定量的評価手法の開発を行っている。

提供できる技術 ・応用分野
  • 金属材料に対する機械的特性の評価および組織観察
  • 電気化学的手法を用いためっき膜の形成および腐食挙動の評価
  • 異種材料接合体に対する接合性の評価および接合界面の構造解析
主要な所属学会

日本金属学会,スマートプロセス学会,表面技術協会,軽金属学会

論文
  • Fabrication and Characterization of Zinc-Coated Aluminum Particle Joining Materials via Zincate Treatment, DOI: 10.1007/s10853-024-10421-0 (2024)
  • Joining Process of Dissimilar Materials Using Three-Dimensional Electrodeposited Ni-Cu Film, Materials and Manufacturing Processes, DOI:10.1080/10426914.2021.1885708 (2021)
  • Effects of Ni Addition to Sn-5Sb High-Temperature Lead-Free Solder on Its Microstructure and Mechanical Properties, Materials Transactions, DOI: 10.2320/matertrans.MH201809 (2019)
受賞歴
  • スマートプロセス学会 論文賞(2021)
  • 群馬大学工業会 奨励賞(2019)
  • Mate2019シンポジウム 奨励賞(2019)
  • スマートプロセス学会 論文賞(2015)
  • 表面技術協会 第16回優秀講演賞(2014)
最終更新日: