超精密に研磨されたミラー

スマートフォンやコンピュータをはじめ、ロボット、車、飛行機などの様々な工業製品はものづくり・先端加工技術がなければ、今日までのような普及が出来ません。日本のお家芸ともいわれたものづくり技術は技術の伝承と新しく出てくる新材料の加工法の開発がともに大切です。また、世の中に出てきた新しいニーズに合わせて、高品質なものを早く、安く作る必要があり、新しいものづくりプロセスの開発も必要です。
 一つの例として、レーザーや中性子の集光に使用する光学素子の製作をあげます。光を反射させるためにきれいな表面を作り上げなければならないし、また、正確に集光させるためにミラーの形状を設計通りに作らなければならない。そのために超精密機械と新しい工具を使って製作を行っています。
 一方、ハイブリッド自動車や電車に使用する高能率パワーデバイスの材料として、単結晶SiCやダイヤモンドなど化学的安定性をもち、高い硬度で非常に加工が難しい材料が使用されています。その基板材料の加工法として、私たちは振動を利用し加工能率の向上を提案しました。現在、低周波振動援用研磨ユニットの試作に取組み、それによる高能率研磨実験に成功しました。さらに研究を重ねて、実用化を目指しています。

教授 林 偉民 LIN Weimin
研究キーワード 超精密加工,マイクロ加工,切削加工,研削加工,研磨加工,塑性加工,表面計測・評価
研究分野 生産工学材料工学
主な研究テーマ
  • 加工空間の熱流体工学的考察に基づく研削加工の高度化
  • ハイブリッド加工プロセスによる光学素子の超精密・高品位加工
  • 工業ロボットによるローラーヘミング加工の研究
研究概要

光学部品およびその金型の超精密加工・測定法の研究を行っている.特に,超精密切削・研削と各種の研磨加工法をハイブリッドする連携加工プロセスを提案し,超精密光学部品の高能率かつ高精度量産加工プロセスの構築を行った.また,そのための最終仕上げ法である超精密研磨法――自転公転型研磨法の発案や形状修正研磨法の研究を行っている.そのほか,複雑・微細形状を持つ構造体の研磨法,自動車部品の高精度・高能率量産法の研究やその装置の検討も行っている.最近,ハイブリッド加工プロセスによる光学素子の超精密・高品位・低コスト加工法を実証し,中性子集光ミラーの高精度製造法に応用して研究を進めている.また, 工業ロボットによるローラーヘミング加工の研究も進めている.

提供できる技術 ・応用分野

超精密加工・計測技術,マイクロ・微細形状加工,金型加工,研削加工,研磨加工,生産管理
応用分野:汎用機械加工,自動車部品,工作機械技術,超精密金型,光学部品,電子デバイス

主要な所属学会

日本機械学会,自動車技術会,精密工学会,砥粒加工学会,日本塑性加工学会

論文
  • Effect of heat source shape on temperature and heat diffusion in continuous grinding based on FEM, 精密工学会誌, Vol.90, 6 (2024) 477-482.
  • Experimental study on strain hardening of steel panels in the hemming process, Advances in Materials and Processing Technologies, 2 (2021). DOI:10.1080/2374068X.2021.1878731
  • Removal model of Rotation & Revolution Type Polishing Method, Precision Engineering, 50 (2017) 515-521. DOI: 10.1016/j.precisioneng.
受賞歴
  • 第11回高度自動化研究奨励賞(1999年)
  • 型技術協会奨励賞(2005年)
  • 第35次工作機械技術振興賞(奨励賞)(2014年)
  • JABEEフェロー(2024年)
メディア情報
  • 日刊工業新聞第2部_20250325_工作機械産業記事掲載
最終更新日: