繊維を作る過程の高分子鎖のナノレベルの動きを、放射光によりリアルタイムで見る!これにより、環境にやさしい手法で高強度繊維の作製に成功!!!
高分子を利用して作製したセラミックスナノファイバー不織布の電子顕微鏡写真。

高分子材料(繊維・フィルム)を作る方法である成形加工(延伸・紡糸(繊維化)・熱処理)過程で起こる構造形成挙動を解明し、ひも状分子である高分子鎖を「解きほぐし」たり「並べ」たりすることで、環境に優しい手法(グリーンプロセッシング)で高性能な高分子材料の創製に成功しています。これにより、現在は試行錯誤的であるプラスチック製品の製造過程が予測可能なものとなり、製品化における環境負荷の低減・コスト削減につながっていくという産業的な可能性に期待しています。
また、高分子の構造を利用した有機‐無機変換プロセスによるセラミックスの合成手法は、セラミックスにおける新たな機能創製アプローチとして期待されています。これにより、合成温度の低温化(ソフト化学合成)や形態機能化など、低環境負荷で新たな価値を創製するグリーンプロセッシングを実現することができます。
このように、高分子鎖の”ひも”が作り出すナノ構造およびミクロ形態を成形プロセスにより制御、有機的に組み合わせることで、新たな特性をもつ高分子・繊維材料およびセラミックスの研究を行っています。成形プロセスでの高分子の成長(構造形成)過程に着目し、育て方(過渡的および前駆的構造の制御)によって出発原料のもつポテンシャルを最大限に発揮させることで、高分子のもつ新たな才能(性質)を引き出し、その可能性を追求します。

准教授 撹上 将規 KAKIAGE masaki
研究キーワード 高分子構造,高分子物性,繊維,セラミックス,紡糸,延伸,インプロセス計測
研究分野 材料工学高分子無機材料化学
主な研究テーマ
  • グリーンプロセッシングによる高強度・機能性繊維の開発
  • インプロセス計測による高分子材料の高強度化・高機能化の研究
  • 高分子を利用したセラミックスの機能合成の研究
研究概要

高分子が作り出すナノ構造およびミクロ形態を成形アプローチにより制御,有機的に組み合わせることで,新たな特性をもつ高分子・繊維材料およびセラミックスの材料創製に関する研究を行っている。
高分子材料の成形(延伸・紡糸(繊維化)・熱処理)過程における構造形成挙動を解明することで,繊維・フィルム材料の高性能化・高機能化に取り組んでいる。得られた知見を基に,環境低負荷型成形法(グリーンプロセッシング)による高強度・機能性繊維材料の開発を目指している。また,高分子がもつ構造連続性,構造形成能,および成形性を利用した有機‐無機変換プロセスによるセラミックスの機能合成に取り組んでいる。このような観点から設計されたプロセスは,セラミックスにおける新たな機能創製アプローチとして期待される。

提供できる技術 ・応用分野

高分子成形加工,繊維,高分子構造解析,インプロセス計測,セラミックス合成

主要な所属学会

繊維学会,高分子学会,プラスチック成形加工学会,日本セラミックス協会,日本熱測定学会

論文
  • High-Strength and High-Toughness Melt-Spun Polyethylene Fibers Derived from Composite Structure Formation, Macromol. Mater. Eng., 305(11), 2000252 (2020).
  • Preparation of ultrahigh-molecular-weight polyethylene fibers by combination of melt-spinning and melt-drawing, Mater. Today Commun., 23, 100864 (2020).
  • Fabrication of boron carbide fibers consisting of connected particles by carbothermal reduction via electrospinning, Mater. Lett., 254, 158-161 (2019).
受賞歴
  • プラスチック成形加工学会 第4回若手奨励賞(2022年)
  • 2021年度日本熱測定学会奨励賞
  • 2019年度繊維学会奨励賞
  • 第72回(2017年度)日本セラミックス協会賞(進歩賞)
  • 第1回「わかしゃち奨励賞」 最優秀賞(2007年)
メディア情報
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