

生き物はみな、タンパク質や糖などの分子からできています。多くの分子が集まって、生命というすごいしくみ(機械)が動いているのです。そのため、生き物は「分子機械」とも言われます。でも、生き物の体はとてもやわらかくて、人間が作る普通の機械よりずっと複雑で高性能です。
私たちは、この「分子機械としての生命」がどうやって動いているのか、その仕組みを分子レベルで明らかにすることを目指して研究しています。その仕組み分かれば、新しい薬の開発や新しい医療への道が開かれる可能性があります。
生き物はすべて「細胞」という小さな単位からできています。そして、この細胞の形をつくっている大事な部分が「膜」です。この膜は、生体膜と呼ばれ、主に脂質という分子でできています。
最近は、この脂質がどんな性質を持ち、どんな役わりをしているのかを調べています。たとえばコレステロールという分子も脂質のひとつで、よく体に悪い言われがちですが、実は体の中では大切な働きをしています。また、私たちの皮膚にはセラミドという脂質があって、体の中の水分を守る「バリア」のような役目をしています。
生き物は、こうした脂質やタンパク質などの分子をとても上手に使って生きています。私たちは、この“うまい使い方”のしくみを明らかにして、生命の基本的なしくみを理解すること目指して、毎日研究を進めています。


私たちの研究室では、タンパク質や脂質など人間の体や細胞を構成する成分を対象として研究を行っています。今主に研究しているのは、ショ糖(お砂糖の主成分)とスクラロースという人工甘味料が人間の細胞膜にどのような影響を与えるか、という内容です。スクラロースはダイエットコークが代表的ですが、低カロリーの飲み物やお菓子などに含まれているお砂糖とは少し違う味のする甘味料です。基本的には人の健康には害がないとされていますが、最近の研究でスクラロースがマウスの免疫に影響を与えるのではないかと言われています。その効果がもしかしたら薬に応用できるかもしれない、という展望を持って研究に取り組んでいる最中です。実験では、群馬大学以外の外部の大型装置で測定することもたまにあります。
Y.H. 新潟明訓高等学校
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研究キーワード | 脂質,モデル生体膜,生体液晶,生体コロイド,ステロール,X線回折,熱測定 |
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研究分野 | 物性物理学生物物理学 |
主な研究テーマ |
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研究概要 | 生き物はみな、タンパク質や糖などの分子からできています。多くの分子が集まって、生命というすごいしくみ(機械)が動いているのです。そのため、生き物は「分子機械」とも言われます。でも、生き物の体はとてもやわらかくて、人間が作る普通の機械よりずっと複雑で高性能です。 |
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提供できる技術 ・応用分野 | 脂質分子は,天然の界面活性であり,乳化技術に応用できる可能性があります。ドラックデリバリーに応用されている脂質キュービック相の研究や,皮膚のバリアを担う脂質セラミドも研究を行っています。 |
主要な所属学会 | 日本生物物理学会,日本物理学会,日本膜学会,日本油化学会,日本科学史学会 |
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受賞歴 |
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