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今、注目を集めているエネルギー源として、燃料電池があります。燃料電池は水素と酸素を使って電気を起こすもので、電池というよりは発電機というイメージを持つと分かりやすいでしょう。某有名自動車メーカーからも燃料電池を搭載した車が発売されるなど実用化が進む燃料電池ですが、反応を促す触媒として、正極と負極に有限かつ高価なプラチナ(白金)を多く必要とすることが課題です。
私の研究室では、1994年に正極に付けるプラチナの代わりとなる性質を持つカーボン材料を発見しました。この材料の改良を行うとともにその学術的理解も進めてきました。
2006年からは日清紡ホールディングスとの共同研究を始め、試行錯誤の末にプラチナに迫る性能を出せるようになりました。日清紡がこれを工業化し、2013年からカナダの燃料電池大手であるバラード・パワーシステムズと実用化に向けて共同開発を進めてきました。そして2017年、ポータブル型燃料電池においてプラチナ触媒と同等の発電性能と耐久性が得られたことで、採用が決まりました。貴重なプラチナの使用量を大幅に削減することができます。
開発したカーボンアロイ触媒は、天然資源であるプラチナとは異なり、大量生産が可能で低コスト化が望めます。つまりカーボンアロイ触媒は、燃料電池の普及を加速させ市場をさらに拡大させる可能性を秘めた技術と言えます。
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研究キーワード | 炭素材料,触媒,エネルギー,燃料電池,水素製造,水素エネルギー |
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研究分野 | 材料工学無機材料化学エネルギー関連化学 |
主な研究テーマ |
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研究概要 | 「カーボン材料による低炭素社会の構築」を実現するための機能性カーボン材料を創出することが研究のターゲットである。特に,実現間近とされている水素エネルギー社会を実現するための材料群および技術の開発を行っている。具体的には,白金に頼らない燃料電池電極触媒や,高度なカーボン技術に支えられた水素製造用金属触媒,そして水素吸蔵材などの研究を中心に研究を展開している。研究の推進に当たっては,当研究室が培ってきたカーボン材料の合成技術及び解析技術を駆使し,《材料の合成》-《解析》-《性能評価》のフィードバックサイクルの有機的連携により開発を進めている。 |
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提供できる技術 ・応用分野 | 炭素材料,燃料電池など |
主要な所属学会 | 炭素材料学会 |
論文 |
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