
2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、電気化学デバイスの高性能化が必須である。次世代の二次電池には、高エネルギー密度に加えて、低コストと高い安全性が求められる。電解質に無機固体電解質を用いた全固体二次電池は、高い安全性と高エネルギー密度を兼ね備えた次世代の蓄電デバイスとして期待されている。一方で、全固体電池の特有の課題として構成材料粒子間の接触界面抵抗の低減が挙げられる。全固体電池の設計において、粒子間の接触界面抵抗の正確な評価が重要である。全固体電池内部に存在する界面抵抗を正確に評価する手法を開発し、全固体電池の実用化を目指す。
全固体電池はこれまでになかった新たな構造で構築できるため、これまでの実用化された蓄電デバイスと比べて圧倒的に小型化・軽量化が可能である。搭載する蓄電デバイスが小型化・軽量化することが可能となれば、空いた空間に装置(携帯機器や自動車など)のさらなる機能の追加や高性能化につながる。このように、全固体電池の実用化は新たな技術革新のキーとなる。

研究キーワード | エネルギーデバイス,電池材料,全固体電池 |
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研究分野 | 無機材料化学エネルギー関連化学 |
主な研究テーマ |
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研究概要 | 可燃性の電解質溶液を不燃性の固体電解質に変えた全固体電池は、高い安全性と高エネルギー密度を有する蓄電デバイスとして期待されている。全固体電池はすべてが固体材料で構成されるため、全固体電池特有の課題として良好な固固界面構築を設計する必要がある。全固体電池の実現には、電池材料自身の硬さ、粘弾性挙動の特徴を知り、活物質のレオロジー特性に合わせた固体電解質を開発、設計することが重要であると考えられる。電池材料粒子間だけでなく集電体をも含めた全固体電池内部に存在する界面抵抗要因を、固体電解質層、電極層、集電体との接触面でそれぞれモデル化し改善する手法を開発している。全固体電池の実用化に向けて、多層積層による高電圧化、大容量化が期待されるシート型全固体電池が注目されている。シート型電池の作製法として、現状のリチウムイオン電池の製造方法や設備が転用可能で、量産化や大面積化が容易なスラリー塗工法が有力である。スラリー塗工法で作製した集電箔と塗工膜との間の界面抵抗の発生要因をモデル化し、塗工膜の正確なイオン伝導性や電子伝導性の評価手法の確立を目指している。 |
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提供できる技術 ・応用分野 | 全固体電池の内部抵抗解析,電池の構造設計(主に材料),二次電池の生産方法の開発,電気化学デバイスの設計・保守方法の手法開発 |
主要な所属学会 | 電気化学会,日本セラミック協会 |
論文 |
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