湾曲網面カーボン
湾曲構造をつくる金属粒子

炭素は身近な材料であり、冷蔵庫の脱臭に使用される活性炭や、鉛筆に使用される黒鉛も炭素ファミリーに属します。炭素はその結合様式や配列の仕方によって、発現する機能が全く異なります。私が研究しているのは、炭素に触媒機能を付与するための構造制御技術です。
炭素がとても高い触媒活性を示すことで知られているのが、酸素還元反応です。この反応は従来、白金触媒が担っていた触媒機能であり、白金触媒と同等の性能を有する炭素を創出することが私の目標です。触媒機能を持つ炭素は「湾曲構造」を有することが明らかになっています。これはフラーレンのように1つの球体になっているのではなく、波打った炭素網面が繋がったような構造です。本来、平面的に連続するはずの炭素網面が湾曲することで触媒機能を発現します。
私は、何もしなければ平面になってしまう炭素網面を湾曲させるために、金属粒子を配置する手法を提案しています。この湾曲した炭素について、酸素還元活性以外の触媒機能についても解明を進め、炭素を触媒材料として世に送り出したいと考えています。

研究室についてSTUDENT
学生の実験風景
第60回炭素材料学会夏季セミナー(宮崎)
助教 小林 里江子 KOBAYASHI rieko
研究キーワード 炭素材料,触媒,エネルギー,燃料電池,水素製造
研究分野 材料工学無機材料化学エネルギー関連化学
主な研究テーマ
  • 炭素材料の触媒機能,構造の解析
  • 炭素の構造制御技術
研究概要

機能性炭素材料を創出し、カーボンニュートラルに貢献することを目指している。特に注力しているのが触媒機能を有する炭素材料の調製とその発現機構の解明である。その中で、「湾曲網面」が炭素材料の酸素還元触媒活性の発現に対し重要な役割を果たしていることを明らかにしている。また、炭素の構造解析技術を用いて炭素の反応性を制御し、水素発生用触媒である炭化タングステンの微粒子化による高活性化も進めている。当研究室では炭素の構造解析技術に加え、構造制御技術も備えており、これらを活用して炭素材料の適用分野を広げる取り組みを積極的に行っている。

提供できる技術 ・応用分野

炭素材料,燃料電池など

主要な所属学会

炭素材料学会

論文
  • Construction of Warped Graphitic Layers from Fullerene Soot and Study of Their Catalytic Oxygen Reduction Activity. The Journal of Physical Chemistry C 2023, 127 (51), 24564-24573.
  • Efficient preparation of carbon materials composed of warped graphene layers via in-situ nano-templating and estimation of oxygen reduction reaction activity. Carbon 2024, 118910.
最終更新日: