炭素材料の分子構造モデル

カーボン材料は炭素六角網面によって構成される材料の総称です.カーボン材料は古くて新しい材料とも言われ,古くは石炭や黒鉛,近年ではグラフェンやカーボンナノチューブといった新規カーボン材料が注目を集めています.カーボン材料の構造は極めて複雑で,その構造は炭素六角網面の大きさや積層の仕方,網面の完全性,細孔構造等,多肢にわたる要素から言及されます.さらにその構造中に官能基やヘテロ原子を導入することで多種多様な表面特性を示すことが知られています.こういった構造の複雑さから,カーボン材料は多種多様な特性を有し,電極材料から触媒材料まで多くの応用がなされています.カーボン材料の工業利用価値を高めるためには,ナノ構造は勿論のこと分子レベルでの構造制御が必要不可欠です.私たちはそういったカーボンの構造制御技術の開発と応用に関する研究を進めています.例えば,一分子の厚さ(1 nm以下)のカーボン薄膜を電子デバイスに用いたり,カーボンナノチューブを規則正しく集積してみたり,分子レベルのカーボンの立体構造を構築したりと,カーボンの構造を自由自在に制御できるように様々な手法・アイデアを試しています.

研究室についてSTUDENT
准教授 石井 孝文 ISHII takafumi
研究キーワード カーボン材料,ナノ構造,ナノ材料科学,表面化学,分析化学,量子化学,熱分析
研究分野 ナノマイクロ科学機能物性化学エネルギー関連化学
主な研究テーマ
  • 炭素材料の表面分析
  • 炭素材料の表面化学
  • 炭素材料の半導体,エネルギー変換材料への応用
研究概要

その構造や表面状態の複雑さから,カーボン材料は多種多様な特性を有する.カーボン材料の工業利用価値を高めるため,カーボン材料の構造制御,表面制御技術の開発を行っている.テンプレート法をはじめとする構造制御手法とヘテロ原子ドーピングによる表面状態制御によって,触媒,センサー,吸着材といったカーボン材料の応用展開に力を入れて研究を進めている.

提供できる技術 ・応用分野
  • 全ての炭素材料に適応可能な表面化学構造精密分析技術
  • 分子構造やナノ構造を制御した炭素材料の合成
主要な所属学会

炭素材料学会,日本化学会,電気化学会

論文
  • “Estimation of the spatial distribution of carbon edge sites in a carbon structure using H2 desorption kinetics in temperature programmed desorption”, Carbon, 2022, 196, 1054-1062.
  • “Modulation of the electronic state of carbon thin films by inorganic substrates”, Carbon, 2022, 196, 313-319.
  • “Preparation of Chemically Structure-Controlled BN-Doped Carbons for the Molecular Understanding of Their Surface Active Sites for Oxygen Reduction Reaction”, ACS Catal., 2022, 12, 1288-1297.
受賞歴
  • 炭素材料学会研究奨励賞(2022年)
  • 多言物質科学奨励賞(2014年)
最終更新日: